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蝶の採集に熱中していたのは小学から中学生の頃、夏休みなどは毎日のように捕虫網を手に田舎の山を駆け回っていた。 高校から大学、社会人と進むに従っていつしかそのような余裕もなくなり、それも遠い昔の思い出となってしまっていたそんなある日、山道を車で走っていた時、道端でふわふわしていたオナガアゲハが目に留まった。 懐かしい想いで車を止めた時、路上で何か白いかげが動いた。
「イシガケチョウだ!!」 白っぽいジャリの中に溶け込むように擬態して翅を拡げている。 少年の頃、私の田舎では生息記録も無く、図鑑の中でしか見ることが出来ない、私の憧れの蝶の一つであった。 急いでデジカメを取り出し夢中でシャッターを切った。(添付写真)
 この出来事が、あの少年時代の日々を思い起こさせてくれた。 見たことのない蝶への憧れ、好奇心、探す時の期待感、出会えた時の感動、ネットインするまでの緊張感、手塚治虫、北杜夫、ヘルマンヘッセなどが見事に表現しているあのときめきである。
 以来、自宅の庭や行く先々で出会った蝶の写真を撮りはじめた。 出合った蝶のその美しい記録を残すことは楽しい作業であり、その時の情景や感動をいつでも思い起こすことが出来る。
 一方、こうした蝶の観察を通して、かってはたくさんいた蝶が土地開発などで住処をなくし殆どいなくなっていたり、逆に温暖化の影響で生息域を拡大していたりと、その原因となった自然環境の変化を実感している。 蝶のようなものでも居心地が良いと感じ、共生出来る世界こそ人間にとっても価値ある世界であり、そして採集家も含めて蝶に興味を持つ人こそ、その保護を最も真剣に考えるものだ。
 会社生活から開放されたのを機に、今まで出会ったことの無い蝶に会ってみたいという思いと同時に、蝶の愛好家の一人として、何かのかたちでそういった保護にも関わりたい思っている。  (2006年1月)









  





山本