はじめに
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友人で東京在住のUsさんに案内してもらえるということで、7月の三連休を利用してHrさんと長野に出かけた。 予定の15、16日の天気予報は雨確率70%、どうしようかと迷ったが、私は「晴れ男」何とかなるでしょう、と予定通り決行することにした。 14日早朝5時出発。 途中一宮近くで事故車による渋滞があったがそれでも午後2時には諏訪南ICに到着した。 ただちに入笠山に向かった。 ふもとでも標高1000m、どんどん登る。大阿原湿原、何かいるかもしれないとカメラを手に探索開始する。 遊歩道の獣糞にキマダラヒカゲに混じってたくさん集まっている。 獣糞バックの写真ではと追い払い草の上に留まらせようとするがなかなか思うようにならない。 それでもなんとか数枚撮影した。 しばらくあたりを探索したが花も少なく他にめぼしいチョウの気配が無いので一旦チェックインしそれからにしようと原村のペンションに向かった。 4時到着。 6時に探索終了し、近くの温泉に入り、7時夕食、ビールで乾杯した。 部屋にはテレビもなくすぐに眠気がきて九時前にはすでに夢の中。 1日目が終了した。 外をみると青空が!あの天気予報はいったい何だったんだ、やはり「晴れ男だ」 8時に諏訪南ICで牛込さんと合流、大白川林道に向かう。 10時前に到着。車を止めて近くを探索すると多くのセセリが忙しく飛び回っている。 その中の少し大きなキバネセセリを早速撮影する。 しばらく進むと数頭のゼフィルスが目の前の梢をチラチラ飛び回っている。 ウラキンシジミ、次いでジョウザンミドリシジミが葉上で停まっているのを見つけ撮影する。 河川工事の休憩所があり、作業員の方に「最近どうですか」と聞くと「雨上がりの時などこのあたりオオイチモンジが良く出るよ」との返事、俄然活気付き、更に林道を進むが、セセリ、キマダラヒカゲばかり。 アサマシジミのポイントではほとんどヒメシジミ、でもオスの瑠璃色、メスの燈色はさすがに綺麗で、写真に収める。 元の工事現場に引き返すと、エルタテハにシータテハ、続いてクジャクチョウにスジボソヤマキチョウ、大忙し右往左往である。 しかしお目当ての「オオイチ」はついに現れなかった。次に高ボッチ山に向かう。 駅前のビジネスホテルへチェックインし、風呂でさっぱりした後近くの飲み屋で乾杯した。 翌日は長野地方は大雨雷注意報が出ており無理かもと思いつつ、行動計画を練った後10時頃就寝した。 「山梨の方はましなようですし長野地方も午後は少し良くなるでしょうから」と、7時にはチェックアウト。 近くのコンビニで朝昼食を仕入れ、諏訪湖のほとりで朝食をすませたのち、山梨県韮崎のミヤマシジミポイントに向かった。 途中降ったりやんだりだったがポイントでは、丁度止んだ。 サカハチチョウ、ホシミスジ、ミスジチョウなど普通種はいるが、ツマジロは現れなかった。雨こそ降らなかったが日が照らないとだめらしい。 時期的にも早すぎたかもしれない。昼飯を済ませて、再び諏訪方面に引き返し、霧ケ峰へ向かった。 雨は上がっているが、上の方は霧が立ちこめ、まるで天に昇るようだ。 池周辺を探索、草むらを掻き分けていくと、足元からヒョウモンチョウが沢山飛び出す。 少し下方に場所を変えたところで、アサマシジミ、続いてシータテハ更に進むとギンボシヒョウモンがアザミで吸蜜しているのに出会う。 5時近くなり、あまり遅くなり過ぎてもとここで全日程を終了した。 5時に現地出発、諏訪ICから高速に入る。帰りは成果に話がはずむ。 途中夕食休憩、トイレ休憩しながら岩国には夜中の一時半に無事到着した。 全走行距離約1800kmであった。
今回は、新たにOmさんが加わり、Hr中さん、Usさんとの4名である。 オオゴマシジミ、ツマジロウラジャノメなどが主目的であり、これに合わせて8月4日、岩国を早朝五時前にOmさんの運転で出発した。 昨年同様、まず入笠山を目指し、午後3時頃には入笠高原に着いた。 ここでエルタテハなど昨年とほぼ同じ種の写真を撮った後、北杜市小渕沢のムモンアカシジミポイントに向かった。 既にかなり遅かったが、クリ、オニグルミの木などをを叩くとムモンアカシジミやオナガシジミが飛び出し、その内、ムモンアカシジミの交尾個体なども見つかり、撮影できた。 ヤマハンノキを叩くと数頭のミドリシジミが飛び出し、撮影できた。 7時前には、宿に帰り、大急ぎで朝食を済ませ、再度入笠山に向かった。 山頂下の牧場を抜け林道を進むと、次々と蝶が現れ、目的のツマジロウラジャノメも一頭見つかり写真にも収めることができた。 一時間近く進んだあたりが、そのポイントで、数人の採集者がいたので様子を聞きながらその周辺を探索した。 時々現れるがなかなかとまってくれず、良い写真は撮れなかったが、証拠写真程度のは撮ることができた。 この周辺では、その他フジミドリシジミ、オオミドリシジミ、ウラキンシジミなどのゼフィルスも見ることができた。 午後三時過ぎに全日程を終了し帰途に付く。 岩国には夜中の一時過ぎに無事到着した。
対馬遠征紀(2008年) 今回同行したGtさんは、対馬には過去何回も行っておられるが、写真を撮り直しに行かれるというのでお供することになった。 対象種に合わせて、出発は5月26日、新幹線、地下鉄、飛行機を乗り継いで昼前には対馬に到着した。 レストラン横のエノキの周りをゴマダラチョウが飛び回っている。 まず本命のツシマウラボシシジミの多いという北に向かい、Gtさんが過去によく見たという上県町佐須奈周辺を探索することにした。 何箇所かのポイントに入ったが、ツシマウラボシどころかほとんど蝶が目に付かない。 アオスジアゲハ、コミスジ、モンシロチョウといった普通種がたまに現れる程度、それでも対馬産だからと撮影した。そうこうしている内、立ち寄った林道沿いでミスジチョウが目に止まった。 対馬産は小ぶりで白帯が広くなる特長があり暫く撮影に専念したが、目的としたツシマウラボシは一向に現われなかった。 それではトンボを、と目を凝らすが、蝶以上にいない。ツシマウラボシは、時期的にまだ出ていないのか、それとも数が激減したのか。 暑い日が続いたため、川の水も少なく、全体に乾燥気味であるし期待できないかもとだんだん悲観的になる。 初日は、あまり成果無く宿舎に向かった。 観光もしておこうと、上対馬町の韓国展望所へ立ち寄り記念撮影した後、前日のポイント近くへ向かう。 川筋に入ってみたが昨日同様蝶の姿は見えず、ポイントを変えようかと話していたところ、「ヤンマ!」とGtさん、脇の草地に入って行った。 道端からそれを見ていたところ小さいものがチラチラしているのが目に入った。 「何か、ヤマトかもしれませんが、チラチラしていますよ‥」すぐに確認に向かったGtさん「ウラボシに間違いありません」。 とたんに元気が出て私も草地に突進。 Gtさんの指差す方を見ると、初めて見るツシマウラボシシジミの可憐な姿。 「これがツシマウラボシか、かわいいなあ」「あわてなくても逃げませんから」との声を耳に興奮気味にシャッターを切った。 ここでは3頭確認したが、発生したばかりと思われ、それではと、昨日のポイントに向かったところ予想通り現れてくれ、いろいろなポーズの写真を撮ることができた。 午後は、南に向かい、峰町、豊宝町とそれらしいポイントに立ち寄ったところいずれのポイントでも数頭を見ることができた。 豊宝町では、国道沿いの花に沢山のアゲハチョウが飛び回っており、さすがに対馬と思わせたし、偶然にもタイワンシオヤトンボも撮影出来た。六時頃予定通りホテルに到着、前日とは違ったビールを味わうことができた。 これでは調査にならない。今度はいつ来られるか分からないし、予定していた場所だけでも見ておこうと、厳原町万松院を見学した後、迷蝶ポイントの豆酘崎に向かった。 豆酘崎に到着した頃は、雨風も弱まり、少しは探索出来たが、その内また雨風が激しくなったので空港に向かった。 予定の便は欠航でもう一泊することになったが、この遠征で確認した蝶は29種、トンボは5種で、初日のことを考えれば満足の対馬遠征であった。
6月23日からGtさんと奄美諸島に出かけた。 奄美諸島といえば、特産種のアカボシゴマダラが有名であるが、沖永良部のコノハチョウほか南方系の蝶がいろいろ期待できる。 福岡空港9時30分発、鹿児島空港で乗り換え、徳之島空港には12時に到着した。 すぐにレンタカーで県道83号を南に向かった。 天城町西阿木名で、脇道に入ってみたところ、私には初めてのアオタテハモドキやヒメシルビアシジミが遊んでおり、更に松の梢を滑空するアカボシゴマダラが目に入った。 アカボシゴマダラは、遠いため望遠での写真しか撮れなかったが、いきなりの本命出現でなかなかの幸先の良さである。 しばらく周辺を歩いたところ、タイワンクロボシシジミ、リュウキュウミスジなども現れ、撮影できた。県道を更に南下し、5時前には伊仙町に入った。 ここは、120歳まで生き、長寿世界一に認定された泉重千代の生誕地であり、先ずその記念碑(銅像)を訪れた。 この銅像のある周辺も蝶のポイントとなっており、しばらく探索したが既に遅かったこともあり、リュウキュウヒメジャノメと樹上を滑空するアカボシゴマダラが目に入ったくらいであったので、初日はこれで終了し、徳之島町のホテルにチェックインした。 ツマベニチョウ、アマミウラナミシジミ、リュウキュウアサギマダラ、シロオビアゲハ、ウスイロコノマチョウなどの南方種が次々と現れた。 その内、アカボシゴマダラが低いところを飛んでいるのを見つけ追いかけて行ったところ、樹間に入って行き、一瞬見失ったが、その辺を探し、交尾しているのを見つけ撮影した。 奄美大島空港からは、レンタカーで県道82号を南下、龍郷町赤尾木の脇道に入ったところで、新たにベニモンアゲハを見ることができた。 しばらく探索の後、奄美市の中心街名瀬の山羊島にあるホテルに到着し2日目を終了した。 ここでは普通種やこれまでに見た南方種に混じって、新たにナミエシロチョウを撮影できた。10時過ぎに、やっとアカボシゴマダラが現れ、産卵シーンも撮影できたので、次の目的地住用町に向かった。 11時過ぎに西仲間に到着、二級河川の住用川流域をところどころ探索しながら北上したが、アマミルリモントンボというきれいなイトトンボを見た程度で、特に新しい種を見ることはできなかった。 次いで湯湾岳に向かったが、天候が下降気味ということもあってか、ここでも蝶の姿は少なく、ここで探索は終了し、山羊島のホテルに帰った。 約30分で到着したが、空港に着くと大雨だったので、一旦、和泊町の宿にチェックインした。 午後4時ころになり、雨が止んだので、少し遅かったが、島の西部知名町にある最高地点大山(240m)に行ってみた。 最高地点に着くなり、当島がその北限として有名なコノハチョウが現れた。 元々沖縄が本種の北限であったが、1980年代にここで発見され定着したとされた種で、人為的な移入の可能性もあるといういわくつきの蝶である。 前日のポイント大山のふもとの人家近くの花場では何種類もの南方系の蝶が乱舞しており、これまでに見た種ばかりであったが、多くの写真を撮ることができた。 また、山頂に近いところでは、多くのコノハチョウを見ることができた。 午前で大山での探索は終わり、次に、島で2番目に高い越山に向かった。 島が一望にできる展望所公園が整備されており、ここには巻貝と少年と山羊という不思議な組み合わせのモニュメントがあり訪れる人も多いようだ。 公園内をしばらく散策した後、沖永良部空港17時20分発、鹿児島空港、福岡空港経由、新幹線を乗り継ぎ、岩国には夜10時過ぎに到着した。 南方種については、鹿児島で、何種類かは見ていたが、鹿児島より南では実質初めての撮影旅行であり、初めて見る種も多く、記憶に残る遠征であった。
7月6日から宇部市のGtさんと大雪山麓を一周する計画で撮影旅行に行ってきた。 北海道は、観光では行ったことがあるが、蝶を目的に行くのは初めてである。 この時期は、春と夏の蝶の端境期になるということであるが、オオイチモンジには丁度良い時期であり、また場所を変わればそれなりに多くの種が見られるので初めての私にとっては良いでしょうというGtさんの考えからである。 旭川空港には、山口、広島からは直行便がないため羽田経由で行くことにした。 旭川には午後3時前に到着、レンタカーを借り、すぐに最初の予定地富良野に向かった。 富良野といえばラベンダー、丁度見ごろの時期であったがそこは素通りして午後五時前に布礼別川沿いの林道に到着した。 かなり遅い時間ではあったが林道入り口付近では早速朱色鮮やかなクジャクチョウが出迎えてくれ、近くの地面では、エゾスジグロシロチョウ、シータテハなどが遊んでいる。 草つきでは、すこし大振りのエゾシロチョウが休んでいた。 楽しみを明日に残して最初の宿舎に向かった。 チャバネセセリに混じってコキマダラセセリ、更に灰青色の大振りのシジミであるカバイロシジミ、ついで本土のものに比べると蛇の目は小さく全体に白っぽく一瞬別種のように見えるヒメウラナミジャノメが現れた。 ひとしきり撮影した後昨日のポイントに向かう。 オオイチモンジはなかなか現れてくれなかったが12時頃になってやっと頭上に現れ高い梢に留まった。 肉眼ではほとんど見えず、300ミリ望遠でやっと確認できる。証拠写真にはなるでしょうと何枚か撮影した。 キベリタテハも現れたがこれは良いところに留まってくれず撮影できなかった。 そろそろ場所を変えようと移動する途中、車前方にミスジチョウが見えたので車を止めカメラを向けた。 するとファインダーに別の個体が出てきた。「もうひとつ何かいるみたいですね」「あれがオオイチですよ!ゆっくり撮ってください」とのGtさんの声を耳にはやる気持ちを抑えながらそろりそろりと近寄りシャッターを切った。 構図は今ひとつであったが、先ほどの遠目の写真に比べればまずまずの写真を撮ることができた。 イチモンジチョウにトラフシジミ、本土のものとあまり変わらない様だが撮影しているとそこにコミスジが現れた。 こちらは本土のものに比べると白筋の部分が異常に幅広く別種のようにも見える。 続いて現れたのがカラスシジミ、留まっていたのはほんの一瞬であったが何とかシャッターを切ることができた。 ヒメウスバシロチョウが頼りなげに飛んでいるのを発見、今にも留まりそうだが一向に留まらない。 追いかけまわしていると遠くから「こちらにオオモンシロチョウがいますよ。ヒメシジミも!」とGtさんの声。 急いで駆けつけ畑の回りで飛んでいるオオモンシロを追いかけ留まるのを待って撮影、次いでヒメシジミもシロツメクサに留まったところを撮影した。結局ヒメウスバは撮れずじまいで2日目を終えた。 丁度見ごろを迎えており、紫のじゅうたんを敷き詰めたような花畑はなかなか見ごたえのあるものであった。 雨はやんでもこの寒さでは蝶も出ないのは分かっているが、一応予定のポイントへは行ってみようということで、日高山系へ向かった。 予定していた千露呂川沿いの林道入り口あたりに着く頃には雨は上がっていたがさすがの寒さで予想通り蝶の姿はほとんど見えない。 ついでその日の宿泊地である帯広に向かった。 途中、千露呂川の河原で寝そべっているキタキツネの一家が気持ちを和ませてくれた。 日勝峠を越え、午後4時ころ帯広に到着。 その頃は気温も少し上がってきていたので翌日予定していた川西町のポイントへ向かった。 ここではウラジャノメが飛び回っておりその他カバイロシジミ、アカマダラ、コキマダラセセリなどを撮影し、6時ころ十勝川温泉のホテルに落ち着いた。 8時にホテルを出発し北部の長流枝(オサルシ)川沿いの林道に向かった。 近くにいたツバメシジミも本土のものに比べると裏の斑紋は小さめで表のブルーも変わっておりしばらく追いかけて撮影した。 林道を進むと普通種に混じってフタスジチョウ、ギンボシヒョウモン、コヒョウモン、ヒメウスバシロチョウ、アカマダラなどが次々と出てきた。 ヒメウスバは、ここでは花で吸蜜しているものが多く簡単に撮影できた。 小さな溝沿いでは青色のきれいなイトトンボ(後から非常に珍しいというカラフトイトトンボと判明)を見つけ撮影した。 午後は、更に北の足寄町に向かい、芽登川沿いの林道などを探索した。すでに遅い時間とあってかクジャクチョウやエゾシロチョウなどはいたがここでは目新しい種は見ることができなかった。 これで4日目の日程を終わり六時頃宿泊予定地の糠平温泉に到着した。 これではどうにもならないのでホテルで温泉に入るなどゆっくりし10時頃に出発、近くの東大雪博物館を見学し次の目的地層雲峡に向かった。 途中探索予定していた三股のルピナスが咲き誇る公園近くで昼食をとり、大函、小函などへ立ち寄りながら2時頃には宿泊予定地である層雲峡に到着した。 まだ時間があったので層雲峡を観光、たくさんの観光客に混じって滝などを撮影した後、少し早めではあったがホテルにチェックインし温泉でくつろいだ。 愛山渓温泉は、標高1000m、大雪山の登山口のひとつであり、目の前には雪渓が広がっていた。 草つきを歩いてみたがさすがに蝶の気配は全く無く早々にあきらめ帰途についた。 旭川空港で昼食、1時過ぎに出発、羽田空港、広島空港経由で夜10時前には帰宅した。 この遠征は雨と寒さにたたられ実質予定の半分くらいしか活動できなかったが、それでも41種の蝶を確認し、その内35種を撮影した。また雨のおかげ?で観光もできたので十分満足出来る遠征であった。 なお、この5日後、10名の死亡者を出した大雪山系トムラウシ山での中高年登山ツアー遭難のニュースが流れた。 6日、旭川空港に着いたときは気温30℃度を越え東京より暑かったが、それでも夜、特に雨でも降ると極度に気温が低下し、本度とは全く違うことを体験した遠征でもあった。
直ちにレンタカーで北上、15時頃目的地大宜味村に到着した。 空港では小雨模様だったが、その内雨も止み、大宜味村の民家の花場には、白紋の目立つナガサキアゲハ♀やシロオビアゲハその他多くの蝶が飛び回っており、さすがに沖縄と思わせた。 饒波川沿いを上り、前回、フタオチョウなどを見たポイントに到着し探索を開始するとすぐに、リュウキュウアサギマダラ、リュウキュウミスジ、リュウキュウヒメジャノメなどに混じり、イワカワシジミが目に入った。 本種は、以前、西表島で破損した個体を見た程度で新鮮な個体を見るのは初めてであり、その何とも言えぬ若草色に感激した。 夕方までこの場所で探索し、そのほかアマミウラナミシジミ、タイワンクロボシシジミ、アオタテハモドキ、ツマムラサキマダラ、ウスイロコノマチョウ、ナミエシロチョウなどの南方種を撮影した。 ただ、前回見ることのできたフタオチョウは、時期的に悪かったのか見ることができなかった。 今回同行したKnさんは、専門はトンボであり、その撮影も今回の目的の一つであったが、このポイント近くの川淵や池周辺にはいろいろなトンボも多く、管さんのお陰で、オオハラビロトンボ、リュウキュウギンヤンマ、コシブトトンボ、コフキヒメイトトンボ、アカナガイトトンボなどを撮影できた。 与那川沿いの土手や農道の脇道などところどころ寄り道しながら、琉球大学演習林付近まで探索した。 ここでは、私にとっては初めてとなるリュウキュウウラナミジャノメを見ることができ、そのほかこれまでに見た種以外ではコノハチョウ、スミナガシ、タテハモドキ、ユウレイセセリなどの蝶のほかリュウキュウルリモントンボ、リュウキュウハグロトンボなどの南方系のトンボも撮影した。 バナナの害虫であるバナナセセリは、夕暮れ時になって活動するということを聞いていたので、時期的にはいるかどうか分からなかったが、寄ってみることにした。 18時を周り、夕闇が迫ってきた頃、バナナの樹上を飛び回る黒い影が目に入った。 バナナセセリだ!何頭もいるようだ。 その内、1頭が目の前のバナナの葉裏にとまった。 既に薄暗いのでフラッシュ撮影した。 Knさんは、捕虫網を取り出し追い掛け回していたが、何頭か採集したようだ。 ここは山頂部が森林公園として整備されており、展望台からは今帰仁村の町並みや青く広がる海、古宇利島などが360度大パノラマで見渡せる。 山頂まで車で移動しながら、探索したが、ここでも今回の目標の一つであったリュウキュウウラナミジャノメを見ることができ、その他多くの南方種を見ることができた。 ここでも多くの蝶を見ることができたが特にナミエシロチョウ、ツマムラサキマダラが多く目に付き、ツマムラサキマダラは交尾写真も撮ることができた。 午前で今帰仁村を後にし、午後から名護市仲尾次にある真喜屋ダム、饒波、与那と一通りまわり3日目を終了した。 前回、この周辺ではコノハチョウを多く見ることができたが今回は見当たらなかった。 新しくヒメシルビアシジミを撮影し、そのほか水辺ではコシブトトンボ、オキナワチョウトンボなどを撮影できた。 この後饒波に寄ったところで今回の探索は終了し、南下した。出発まで少し時間があったので首里城を見学し、那覇空港15時30分発で帰途に付いた。
8月2日夜11時前に新岩国駅で落ち合い出発、山陽道、名神、中央自動車道を走り、翌朝7時半ころ諏訪湖SAに到着した。 ここで朝食を済ませ、下諏訪町方面に向かった。 ここでしばらく撮影したあと、北杜市小渕沢のムモンアカシジミのポイントに向かった。 期待したムモンアカシジミはいなかったが、オナガシジミ、ミヤマカラスシジミ、オオムラサキなどを見ることができた。 ここには過去に何回か来ているが、その時に見たウラジャノメ、ギンボシヒョウモン、クジャクチョウ、スジボソヤマキチョウなどのほか、新鮮なツマジロウラジャノメや、この時期では予定していなかったキベリタテハも1頭見ることができた。 ただこの日は、天気も思わしくなかったせいか、クジャクチョウが数頭姿を見せただけだったので、早々にそこは諦め、ムモンアカシジミが見られると聞いていた諏訪市大和に向かった。 携帯電話で、情報元のHrさんに、ポイントを聞きながら探していたところ、1頭のムモンアカシジミが樹上から降りてきて、目の前のヒメジオンで吸蜜を始めたので実況中継しながら撮影した。 ここではその他オオミスジ、ミヤマカラスシジミ、オナガシジミなどを見ることができた。 中央道、長野自動車道を経由し、8時30分、白馬村八方尾根の駐車場に到着した。 リフトの下の方には色とりどりの花が咲いており、時折、ベニヒカゲと思われる蝶影も見え、期待を持たせた。 リフトを降りると、ここからその横の斜面を探索しながら下っていった。コヒョウモン、ゴマシジミ、ヒメシジミなどが飛び出し、撮影した。 ゴマシジミは、鹿児島などで見ているが、これは翅表が青色であるのに対し、ここのは、別種と思わせる程黒く、ここに来た甲斐があった。 ただ、目指すベニヒカゲは姿を見せない。 それを求めてゲレンデを下っていくうち、雨が降り出した。 カメラを濡らしてはいけないので、ビニール袋でカバーしながら、兎平駅まで下り、しばらく雨宿りをした。 ほとんどの登山客はつぎつぎとリフトに乗り下っていった。 我々も半ば諦め、次のリフトで降りようかと話していたところ、やや小降りになった。 Knさんが、ちょっと最後にもう一度見てきますと出て行った。 私は期待していなかったが、しばらくすると、1頭いましたよ、と帰ってきた。 ソレっとばかりに飛び出す。 丁度雨も上がり、ベニヒカゲが、クガイソウヤシモツケなどの花の周りをゆったりと飛んでいるのが目に入り、それを追ってしばらく撮影した。 天気予報は、その日は、下り坂であり、一旦降り始めた雨は、もう止まないと思っていたので本当に幸運であった。 Knさんの執念にも感謝した。 10時ころ出発、18時30分過ぎに岩国に到着した。 友人のGmさん、Knさんと昨年の夏に続き信州方面に出かけた。 私の目的はホシチャバネセセリ、アカセセリなどの撮影である。 7月22日夜9時過ぎに新岩国駅を出発、翌朝、長野県駒ケ岳SAで朝食、7時過ぎには伊那ICを降り高遠の林縁の草原に入った。 朝つゆでズボンがビッショリ濡れた。 ヒメシジミ、オオミスジなどの蝶に混じって、ベニモンマダラガが目を引いた。 とても美しい昼蛾である。 原村周辺では昨年同様スジボソヤマキチョウ、フタスジチョウ、ミスジチョウ、ホシミスジ、シータテハ、クジャクチョウその他多くの蝶が確認できた。 昨年に比べてチョウの個体数は少なく、期待したムモンアカシジミの姿は見られなかったが、カラスシジミ、オナガシジミ、シータテハ、ベニモンマダラガなどが見られた。 次に向かった霧ケ峰高原では時間が遅かったためか、蝶ではウラギンヒョウモン、コキマダラセセリくらいで、その他白い粉を噴いたようなゾウムシ(ヒメシロコブゾウムシ)を確認したにとどまった。 八時過ぎ に林道に入るとさっそくウラジャノメが現れ撮影する。 さらに進むとクジャクチョウ、ギンボシヒョウモン、コムラサキ、サカハチチョウ、エルタテハ、メスアカミドリシジなどが現れ、更に進むと昨年は少なかったツマジロウラジャノメがたくさんいた。 このポイントの近くの脇道では熊に出会い、幸い向こうの方が逃げてくれたが冷や汗をかいた。 ここでの撮影を終え、時間に余裕があったので昨年は登らなかった入笠山(1955m)に登った。 山頂付近ではキアゲハが遊んでいた以外にめぼしいチョウは見当たらなかったが、下る途中、花畑近くの登山道で新鮮なエルタテハが撮影できた。 数は少ないが、ハクサンフウロウ、ヤマハハコ、テガタチドリ、ミヤマウスユキソウ、イチヤクソウなどの高山植物も見られた。 天気も良く甲斐駒ケ岳や入笠山が青空の中にそびえていた。 富士河口湖町本栖青木ヶ原樹海を過ぎたあたりに目指す草原の入口はあった。 違う林地に迷い込み午前中の半分を失ったが、その後その反対の道を進むと、お目当ての広大な草原が広がっていた。 草原を歩き始めてすぐに足元のノイバラの花吸蜜していたホシチャバネセセリを見つけた。 小さいのと枯れ草模様なのでよく見ないとわからない。 初めて見る蝶に感激しながら、撮影を済ませた。 草原で出会った人が、トラフシジミとミヤマカラスシジミの異種間交尾体を見つけたというので、案内してもらい撮影した。 そのうち、現地で長年昆虫調査しているという地元の方に出会い話を聞くと、目標としていたアカセセリは5年ほど前より姿を見なくなったとのことであった。 その夜は河口湖畔の老舗旅館「山岸旅館」で宿泊した。 朝食、みやげもの店で買い物を済ませたのち松本市に向けて出発した。 途中、大白川林道に立ち寄る。 ここでは、キバネセセリ、クジャクチョウ、ヤマキチョウ、オオイチモンジ、キベリタテハなどが現れた。 夕方5時過ぎに安房峠に到着、周辺を探索したが、時間が遅かったようで、蝶影は少なかった。 安房峠を下った所の平湯温泉に寄り入湯!1日の疲れを癒し、そのまま高山へ下った。 6時半過ぎに高山市内に入ったが夕食の時間には少し早いので、世界遺産の「白川郷」まで行ってみることにした。 地図で見ると観光するには時間的にぎりぎりの距離である。 しかし、せっかくここまで来たのだから、間に合わなくても、と、燃料補給を済ませ出発した。 白川郷に着いたときには既に日が落ちていたが、大急ぎで展望台に上り、スローシャッターを使い何とか白川郷らしい風景を写しとめることができた。 すでに商店は大方閉店していたが、店じまいで入口付近にいた天ぷら屋の主人にお願いし、3人分の天ぷらを作ってもらった。 上客相手の老舗らしく、主人は「宝クジの当たった人(金持ちのこと)の来る店」と自慢していた。 気分が良かったのか、高価で貴重なイワタケもサービスで食べさせてくれた。 太っ腹なご主人ではあった。ビールが飲めないのが残念だったが、目の前で揚げてもらった天ぷらは大変おいしかった。 走行距離は2100キロに及んだが、事故もトラブルもなく、気のあった同志での撮影旅行で、最高の旅であった。
照葉原生樹林を代表する蝶ゴイシツバメシジミは、1973年に熊本県球磨郡水上村の市房山で発見され、大きな話題になり、学術的価値から1975年には国指定の天然記念物に選定された。 発見から僅か2年で天然記念物指定されたことでも分かるように、その稀少性は特筆すべきものである。 その後の調査から、内大臣峡、白髪岳、奈良の川上村、宮崎県の須木村からも発見されたが蝶類蒐集者の違法乱獲や森林伐採で発見後数年を経ずしてほとんどの場所で絶滅したとされる。 現在、内大臣峡と今回行くことになる市房山が残された棲息地であるが、ここでは1996年に設定された種の保存法指定種として厳重に保護されている。 以前からこの超希少種といえるゴイシツバメシジミを是非自分の目で見て撮影したいと思っていたが、Gtさんと出かけることになった。 最盛期は過ぎていたようだが、保護責任者の方に問い合わせたところ、まだ間に合いそうだということで急遽7月16日の早朝出発した。 九州自動車道を経由し水上村に入ったのは9時過ぎ、途中所々散策しながら目的地には10時頃到着した。 宿泊予定の市房観光ホテルの御主人が撮影観察ポイントを案内して下さった。 ポイントは市房山麓の渓流沿いにあり500年以上は経過していると思える照葉樹木が自生する鬱蒼とした景観の地であった。 渓流沿いにはアサヒナカワトンボが見られオニヤンマも時折旋回しており、ヒメハルゼミの合唱も樹上から聞こえていた。 最初の観察ポイントはケヤキの大木の地上10m上で本種の食草となるシシンランが着生しているのが分かった。 ただ見渡せる場所が限られており、上向きで見るため首が痛くなり足元もやや不安定なため、長く同じ体勢を維持するには困難だったので一時間程度で次のポイントに移動した。 そこは山道を少し登ったところにあり、原生林に覆われた小さな渓流沿いの大木の約8m上の方で、ここにもシシンランが着生しているのが確認できた。 しばらく観察していると小さな蝶影が時々視界に入るようになり、300ミリの望遠レンズで確認したところどうやら目的種であることが判った。 時折チラチラする影を追い求めながら約一時間経過したところで,ダム湖沿いのレストランまで下り昼食を兼ねて休憩し、再び戻って観察を続けた。 高い樹木の間の木漏れ日を浴びながらチラチラするのは何度も確認できたがその日は結局下の方には降りてくれず、何とか証拠になる程度の望遠の写真しか撮れなかった。 10時頃から行動を開始したが状況は前日と大きく変わらず,樹間でチラチラ飛び回るだけだった。 しばらく付近を行ったり戻ったりしていたところ、Gtさんが、ヒメジォンの花に吸蜜に来ているのを見つけた。 ややスレのある♂だった。何枚か撮影するとどこかに消えてしまったが、これで何とか初期の目的を達することができた。 それから多少余裕も出てきて、路面に流れ出た水で吸水するミヤマカラスアゲハやキタキチョウ、ミドリヒョウモン、シータテハ、コチャバネセセリなどを撮影した。 コムラサキの黒化型も見つかり、前日見たトゲオトンボも付近に多く居ることが分かった。 午後からは、Gtさんは、ダム湖付近や渓流沿いを探索することで別れ、私は、できればもっと良い写真が撮りたいと、その場所で降りてくるのを待っていた。 3時を過ぎ、帰る時間が迫ってきても、結局、近くに降りては来なかった。 諦めて、Gtさんのいる下の方に向かったところ、出会った監視員が、昼頃この近くで見かけたと、草むらを教えてくれた。 まだいるかもしれないと探したところ、ヒメジオンで吸蜜している本種♀を発見した。 近寄っても逃げる様子もない。Gtさんにも携帯で連絡し、そこでしばらく撮影した。近くを探すと別の個体も見つかった。 これらの個体は、先に撮影していた♂に比べスレなどもなく、帰る間際になっての大ヒットであった。 16時を過ぎ2日間の予定を終了し、帰途についた。 初日はなかなか手ごわい蝶だと感じたが、結果的に目的を果たすこともでき、多少の生態も分かったことで満足できる遠征であった。 他の産地が消滅していく中で、当地では、独自の監視体制を取り、地域をあげて保全活動に取り組んでこられた経緯がある。 2012年に地元の方が中心となって「ゴイシツバメシジミの郷を守る会」が発足したが、今回案内していただいたホテルの御主人西和人氏は本会の会長であった。 現地を訪れて一番感じたことは,会員のみならず地元民そして監視員の皆さんが、地元の財産を守るという共通の認識で一丸となり活動に取り組まれているということだった。 来訪者に対しては皆気持ちよく接しておられ、共有のものとして啓発活動をされていることは大変素晴らしいことだと実感した。
また、せっかく遠くまで出かけるのだから、帰る途中、蝶の名所として知られている開田高原にも寄ってみようということになった。 7月10日、ネット仲間のMnさんがオオウラギンヒョウモンを見たいとのことで、秋吉台を案内した際、その話をしたところ、Mnさんも7月17日から湯の丸高原に出かける予定とのこと、その結果を知らせてもらうことにした。 その後、Mnさんから予定通りミヤマモンキチョウ、ミヤマシロチョウを撮影できたとの情報と共に、詳しいポイントを書いたメモが送られてきた。 私たちは、7月29日、2週間近く遅いので、それがどう影響するかとの不安もあったが出発することにした。 17時岩国を出発、Gmさんと交互に運転し、途中休憩を繰り返しながら、翌朝、8時30分、湯の丸山登山口である地蔵峠の駐車場(標高約1700m)に到着した。 走行距離約830km。 早速、ゲンレンデを登り、約30分後にMnさんから情報のあったつつじ平(標高約1850m)に着いた。 ここは、天然記念物に指定されている約60万株のレンゲツツジの群落があることで有名で、6月下旬から7月にかけては全土が燃え立つような紅色に染め上がるといわれている。 花は既に終わっていたが、ミヤマシロチョウは、結構多くいて、♂、♀、交尾、産卵など様々な生態写真を撮ることができた。 時々モンキチョウも目に付き、中にはミヤマモンキチョウと思われるのもおり、何枚かの写真を撮った。 そのほか、ヒョウモンチョウ、コヒョウモン、ギンボシヒョウモン、ヒメキマダラヒカゲなど多くの蝶も撮影できたので午後はここを後にし、池の平湿原に向かった。 この周辺を2時間近く散策したが、ここでは、多くのヒョウモン類のほかに、カオジロトンボという珍しいトンボも撮影できた。 その夜は小諸市の布引温泉に宿泊した。 ゲレンデを登り始めたところで若い女性が上から降りてきて、湯ノ丸山に登ろうとしたが、道が分からなかった、一緒に連れて行ってください、というので一緒に登ることになった。 途中、Gmさんが私には初見となるアカセセリを見つけ、またエルタテハ、クジャクチョウ、フタスジチョウ、コキマダラセセリなども現れた。 つつじ平を過ぎると最初は急であったが、次第に緩やかになり、約30分で山頂(南峰2101m)に着いた。 若い女性が加わったこともあってか、思ったほど大変でなかった。 この南峰から北峰にかけ、草地を探索したところ、時々ミヤマモンキチョウが現れた。少しスレた個体が多かったが、何枚か撮影した。 とまった状態では裏翅しか撮れないので♂が♀を追いかけているのを狙って飛翔写真も何枚か撮った。 3日目、地蔵峠周辺をしばらく探索した後、開田高原に向かった。 ここで16時過ぎまで探索し、アカセセリ、スジグロチャバネセセリ、ウラゴマダラシジミなどを見ることができた。 その日は、御嶽山を正面に見ることのできる宿「ペンションビューおんたけ」で宿泊した。 4日目、八時過ぎに宿を出発し、二時間程周辺を探索した。 ここでは新たにヤマキチョウ、ミヤマカラスシジミなどを見ることができた。 目的のミヤマモンキチョウ、ミヤマシロチョウのほか、アカセセリ、ヤマキチョウなども撮影でき、成果の大きかった遠征であった。
2013年の山口むしの会総会時、クモツキに詳しいKwさんに、場所や時期などの情報をお聞きしたところ、一緒に行っても良いですよ、ということで、彼の都合と発生情報などから同年6月4日に信州へ出かけた。 天気その他条件は悪くなかったようだが、結局その時は、クモツキの姿すら見ることはできなかった。 翌2014年、丁度一年経過しチャンスがあれば行きたいと思っていたところ、5月22日(木)Kwさんから「今週末は信州の方、天気は良さそうだし、自分も週末休みが取れそうだ」との連絡、二つ返事でその日の夜出発することになった。 新岩国駅で落合い、最初の目的地を、比較的写真が撮り易いだろうと富山方面に設定し21時頃私の運転で出発した。 京都を過ぎ関ヶ原あたりで、しきりに携帯で天気予報をチェックしていたKwさんが、「明日、北の方はあまり天気が良くなさそうだ」ということで、目的地を南アルプスに変更し中央道に入った。 休憩、仮眠などしながら、翌朝7時過ぎに最初の目的地付近に到着した。 ここは比較的標高が低く、周りの山の雪解け状況から、もう遅いかもしれないということで、次の目的地に向かう。 あと数キロ地点に「道路が崩壊しており通行止め」の立札、そこでさらに次の目的地に方向転換したが、そこも「登山者の皆様へ」という立札、登山道が崩れており通行不能とのこと。 友人から聞いていたもう一つの場所は、相当歩かなければならないとのことで、南アルプスは、断念せざるを得ない状況になった。 翌日の富山に賭けて、今日は、ここらでその他の蝶でも見よう、としばらくウスバシロチョウやツマキチョウ、トラガなどを追いかけて写真を撮っていたが、ふとこれから行けそうな場所としてネットで見た大町市扇沢の名前が浮かんだ。 今から行っても午後になり、北の方だから天気もどうかわからないが、ダメもとで行きましょうということになり大町へ向けて出発した。すでに10時、岩国を出発してから700キロ以上走っていた。 昼頃に扇沢に到着。 場所を変えようと、駐車場に向かっていたところ、目の前を白い蝶が横切った。 スジグロかもしれないと思いながら、信州のスジグロの写真でも撮ろう、位の気持ちで追いかけて行ったところ、道端にとまった。 望遠で覗いたところ「クモツキ♀!」Kwさんも駆けつけ、すぐに飛び立ってはとまるのを追いかけながら写真に収めた。 ♂ではないが、何とか目的達成である。 これで落ち着いて昼食でも食べながら待つことにし、あらかじめ買っておいた弁当を持ち、次のポイント近くで、二手に分かれた。 弁当を開こうとしていたところ、対岸に行ったKwさんから手招き、急いで弁当とカメラを持って駆けつけたところ、鮮やかなオレンジが目に飛び込んだ。生態では初めて見るクモツキ♂であった。 クモツキは、時折草木や石の上で休んだり、ミヤマスミレで吸蜜したりして、そのうちどこかに消えていった。 その内また何度か現れ同じような行動を繰り返した。 その度にカメラを持って追いかけ、何とか納得のいく写真を撮ることができた。 14時過ぎに友人のGmさんから、この時期ヒメギフチョウが蓼科高原で見られるとの電話をいただいた。 時間的に遅かったが、クモツキは堪能したので、行くだけ行ってみようと、茅野市に向かった。 着いたのは17時過ぎで、さすがにヒメギフは見ることができなかった。 クモツキ撮影はできたので、翌日は、予定していた富山は止めにし、岐阜方面で、新たな場所を探そうということにした。 塩尻で宿を予約し、近くのレストランで21時過ぎと遅くなった夕食を摂り祝杯を挙げた。 岩国出発から1060キロ走っていた。 翌日は、奥飛騨温泉郷に向かい、Kwさんは、クモツキの新たな生息地探索、私は、越冬種などその他の昆虫の写真でも撮ろうと、新穂高ロープウェイ駅駐車場に車を停め、通称左股林道へ入った。 しばらくは、昆虫らしい昆虫には出会わなかった。 林道脇の川の流れや雪渓、芽吹き始めた新緑、山野草を見ながらゆっくりと進んだ。 僅かに汗ばむが、ひんやりとした風が気持ち良い。 一時間くらい歩いたところで何か小さな赤っぽいものが飛んでいるのが目に入った。 コツバメでは、なさそうだが、と追いかけてやっと撮影したのは小さなガであった。 後に、友人のOmさんから「カバシャク」で、この時期にしか見られない結構珍しい種との連絡をいただいた。 林道に流れ込んでいる雪渓を横切り、更に進むと、キベリタテハ、コヒオドシ、クジャクチョウなどの越冬種やコツバメ、サカハチチョウ、ベニシジミなどが現れこれらを撮影した。 17時頃夕食を摂り、平湯温泉でしばらく休憩した後帰途に就いた。 休憩、仮眠をしながら、翌早朝出発地点の新岩国駅に到着。全走行距離約2000キロの撮影旅行であった。
私は、八重山諸島には蝶の撮影では過去3回訪れているが、いずれも秋で、一度はこの時期に行きたいと思っていたところ、友人のKnさんから、一緒に行きたいとの話があり、二人で行くことにした。 5月7日、福岡空港からの直行便で石垣空港に二時過ぎに到着、レンタカーを借りて、先ず近くのバンナ公園に向かった。 花場に行くと、ベニモンアゲハ、リュウキュウミスジ、オオゴマダラほか多くの南国の蝶が出迎えてくれた。 夕方までここで過ごしたのち、定宿にしているホテルミヤヒラにチェックイン、初日を終えた。 翌8日、本命のアサヒナを求めて於茂登岳方面に向かった。 アサヒナの発生地は、於茂登岳山頂付近で、以前は尾根まで登らないと見られなかったが、近年、麓の方でも結構見られるようになったと聞いていた。 この日は、友人から聞いた真栄里付近の麓の方を探索し、もし見つからなければ、翌日は登山の予定であった。 ヤエヤマサナエなどのトンボなど撮影しながら林道を進むと、草原にとまったアサヒナを発見、その内センダングサにとまった個体も見つかった。 いきなりの目的達成である。 この林道でしばらく過ごした後、川平に向かった。ここは石垣島では屈指の観光地であるが蝶のポイントとしても知られたところである。 しばらく探索した後、Knさんは初めてということだったので、観光も、ということで川平湾の砂浜の方に出てみた。 エメラルドグリーンに輝く湾内は何とも美しく、しばらく眺めていたが、ふと砂浜脇の草地を見ると、センダングサで吸蜜する迷蝶のキミスジが目に入った。 これまでに見たことがある種であるが、いずれも木の上の方にとまっているようなものばかりで、このように花にとまったのは初めてだった。 良い写真が撮れた。 次に山原に向かい、小高いところにあるレストランで、海を見ながらゴーヤチャンプルの昼食を済ませ、近くのポイントに入った。 車を停め、降りるとすぐにアサヒナが目に入った。しかも数個体、こんなところで見られるとは驚きであった。 葉上や花に、翅を開いたり閉じたり、いろいろな写真を撮ることができた。その他コノハチョウやクロテンシロチョウなど南国の蝶を何種類か撮影し、バンナ公園経由でホテルに帰った。 与那国島では、2日滞在予定のところ濃霧で1日延期を余儀なくされたが、おかげで与那国の友人のSjさんの助けもあり、タイワンアサギマダラが撮影できた。 その後石垣経由で西表島に渡り、2日間探索し、遠征を終了した。 今回の主目的であったアサヒナには西表島でも出会うことができ、その他、この時期に予想される種についても大部分を撮影できた。 その数は71種であった。
他の蝶が、一般に年に1〜数回発生するのに対し、本種は、1年目は卵の状態で越冬し、翌年孵化しその年に蛹化しその状態で越冬し、翌年の夏、即ち3年目にようやく成虫になるという特異な生態の蝶である。 成虫で見られるのは、5月下旬〜7月に限定されることなどから、この限られた時期にしかも登山となると自分には見ることができない蝶と思っていた。 そんな中、ネットで知り合いになった守山市のMnさんから、ご案内しますよ、という連絡をいただいた。 Mnさんは、大学時代に百名山を踏破したという登山家で、北海道には毎年数回は通っておられ、蝶などの写真は、その合間に撮っているとのことである。 私は、北海道には2009年に蝶撮影目的で行き、これについては先に掲載しているが、この時は天気が悪く、予定の半分くらいしか活動できなかったこともあり、ウスバキチョウ以外にも見ていない種が多いので、それでは是非とも、とお願いした。 同じネット仲間の尾道市のMsさんも行きたいとのことだったので3人で行くことになった。 前回とほぼ同じコースで私が計画し、Mnさんに手直しなどしてもらった。 出発は、ウスバキチョウの発生時期にあわせて6月25日とした。私とMsさんは、広島空港八時に出発し、新千歳空港には10時過ぎに着いた。 すぐにレンタカーを手配し、関空から少し遅れて到着されたMnさんと合流し、最初の探索地日高山系へ向かった。 前回は、天気が悪く、見るだけに終わった千呂露川沿いの林道を奥深く進んでいった。エゾシロチョウ、コヒオドシ、シータテハなどが次々と現れ、それを撮影しながら進むと、フキの葉上で休むカラフトタカネキマダラセセリの♂に出会った。 初めて見る種である。続いて♀も現れ、撮影する。 その後、これも初めての種であるホソバヒョウモンも撮影できた。 ほぼ日程を終え、当日の宿泊場所である帯広に向かおうと車で移動途中、運転していた私は、何となく予感がして、車を停め近くを探索したところ、Mnさんが岩場のガケにとまっているエゾツマジロウラジャノメを見つけた。 最初の場所では、本種が見られるとのことで、注意して探したが見ることができなかったのに、かなりはずれたこの場所で見ることができたのである。幸運であった。ホテル日航ノースランド帯広で宿泊し、翌日は、芽室町伏美仙境に向かった。 ここでは、ホソバヒョウモン、オオイチモンジなどの他、数10頭ものミヤマカラスアゲハが集団吸水しているのに遭遇し、さすがに北海道、と驚いた。 時間に余裕があったので、前日予定していながら時間がなく寄れなかった日勝峠のジョウザンシジミポイントに行くことにした。 到着した時、先に来ていた人が、昔の面影は無くなっており、ここにはいない、と教えてくれた。仕方がないので、近くの似たような環境のところへ行き、探してみた。 シロオビヒメヒカゲなどを撮影し、帰ろうとした時、Msさんが、何か小さいのが飛んでいます、というのでその影を追った。 「ジョウザンシジミ!」。 伏美仙境で出会った人から、ジョウザンシジミはピークを過ぎており見るのは難しいでしょう、と言われほとんど諦めていた種に会うことができたのだ。 それから帯広に引き返し、最後に川西町付近を探索した。 前回、ウラジャノメやカバイロシジミを見た場所である。 今回は、これらは見当たらなかったが、多くのアカマダラやコキマダラセセリなどを見ることができた。 この日も前日に続き帯広のホテルに泊まった。 ここは、前回結構いろいろな種類を見ることができ、密かに期待していた場所である。 次に向かった足寄町周辺も同様で、以前とは、環境が変わっており、普通に見られる種類しか見ることができなかった。 この日はたいした成果もなく、十勝川温泉の笹井ホテルにチェックインしたが、ここでは、3m近くもある大きなヒグマの剥製が出迎えてくれた。 5日目、今回の遠征の主目的地である層雲峡に向かう。 途中、大函駐車場付近で記念撮影した後、ニセイチャロマップ林道に入る。 Mnさんが林道入車許可を取っておられたのでかなり奥まで車で入り、そこから探索を始めた。 特に新たな種は見つからなかったが、多くの蝶に出会うことができた。 その日は、北海道の蝶の情報をいろいろ聞けるという層雲峡のペンション山の上で泊まった。 情報通りに、新しくカラフトヒョウモンを見ることができたし、その他多くの蝶に会うこともできた。 途中二か所ほどある雪渓は、かなり急斜面で、足を滑らせたら大変なことになる。 ストックでしっかり支え、一歩一歩踏みしめながら慎重に足を進めそれを横切り、更に登って8時過ぎに目的地に到着した。 途中で高山植物なども撮影しながらゆっくり登ったせいもあり、思ったほど疲れなかった。 コマクサ平は、遊歩道が規制されており、そこからはみ出すことは許されないので、望遠での撮影が結構多くなった。 両種とも、少しピークを過ぎていたようで、スレたものが多かったが、何とか写真に収めることができた。 アサヒヒョウモンも期待したがこれは見られなかった。 余裕が出たのでコマクサなど山野草の撮影もした。その内、雲も出てきて、蝶も姿を見せなくなったので、早めに下山した。 その後、ペンションで聞いていたオオイチモンジポイントに行って見たところ多くのオオイチモンジがいて驚いた。憧れのウスバキチョウを撮影でき、また多くのオオイチモンジも見られて大満足の一日だった。 前回とほぼ同じようにいろいろな種を撮影できた。 この日の宿泊は十勝岳連峰中腹にある吹上温泉白銀荘で、ここの温泉はこれまでで最高と思えるほど素晴らしい温泉であった。 多くの蝶に混じって、それまで見ることのできなかったカバイロシジミも見つけることができた。 それらしいのが居てその都度喜ぶが、いずれもカラスシジミで、リンゴシジミはすでにピークを過ぎていたようだった。
信州蝶紀行(2015年)−ヒメギフチョウ撮影記−
近くからは、残雪に輝く御嶽山が望まれた。 翌二日目は、原村周辺のヒメギフチョウの探索である。
ここでは、その他、スジグロシロチョウ、ツマキチョウ、シータテハ、ルリタテハ、ミヤマセセリなどを撮影した。
弁当昼食を済ませ、午後は、その他のヒメギフチョウ、ヒメシロチョウポイントを何箇所か回ってみたが、結局両種とも見ることはできず、午后四時頃には、宿舎の入笠湿原YHに入った。
この宿舎は、初めてであったが、内装も綺麗で、食事も良く、また、ここからは正面に八ヶ岳全景が望め、なかなか良いホテルであった。
三日目は、チャマダラセセリの産地として知られている富士山の北側山麓に向かった。 北海道遠征記(2016年)
7日目、この日は移動日で、富良野吹上温泉に向かう。途中、前回ジョウザンシジミを見た日勝峠近くのポイントに寄ってみたが、蝶の姿はなかった。R274を更に西に進み、日高千呂露川沿いの林道に入った。途中、長年北海道で蝶の観察を続けているという人にあったので、話を聞いたところ、今年はこれまでにないほど数も少なく、見られない種も多いとのことであった。この林道では、前回は、多くの種を見られたが、今回は少なく、その話を実感したが、それでも、エゾツマジロウラジャノメその他、北海道産の代表的な蝶を何種か撮影できた。
10日目、ゼフィルスの開翅写真を撮ろうと、6時前に温泉に浸かり、朝食は弁当を作ってもらい出発、前日のカシワ林に向かった。北海道の朝は早く、既に飛び出しているのもいたが、カシワを叩くと、ハヤシミドリシジミが下に降りてきて、しばらく待って何とか開翅写真も撮れた。その他ウスイロオナガシジミやウラミスジシジミなどを見ることができた。ウラミスジシジミは、独特の白い斑紋のあるシグナタ型で、初めて見る種であった。
信州遠征記(2016年)-高山蝶を求めて
7月21日(木)晴 7月22日(金)雨〜曇〜晴
上高地への自家用車の乗り入れは禁止されているので、タクシーで上高地の登山出発点に向かった。およそ15km、25分の行程である。途中、大正池で停車し、記念撮影をする。朝霧に包まれていた大正池の上方雲間より穂高連峰が見えた。 5:55上高地バスターミナル到着。ターミナル広場で朝食を摂り、登山の支度、トイレを済ます。飲み物の補給も行い、6:15ターミナルを出発した。 6:30河童橋を渡り、6:40岳沢湿原を抜け、6:45登山口に到着、青空がのぞき絶好の撮影日和となった。直ちに登山開始、周りには高い樹木がそびえ、木の根や石混じりの登山道を進む。7標識(7合目でなく3合目)で休息し更に登る。
No3標識近くの草地で、クモマベニヒカゲとタカネキマダラセセリが見つかり何とか証拠写真を撮影できた。今回の遠征では、タカネキマダラセセリを第一目標にしており、クモマベニヒカゲは、時期的にもう少し後のようなのであまり期待していなかったが、両種に一度に出会えたことで喜びは倍増した。
14:15 5標識通過、15:40岳沢登山口、16:00河童橋にたどり着き小休止、売店で冷たい飲み物で乾いたノドを潤した。上高地バスターミナルでタクシーに乗り、16:50沢渡駐車場に到着。着かえを済ませ17:00松本市内のホテルへ向け出発した。
7月23日(土)曇〜晴、28℃〜25℃
10:30小淵沢IC近くのフラワーガーデンに到着。ここは、以前多くの蝶を見たポイントの近くであり、立寄ったのである。フラワーガーデンには、多くの花が植えられており、ここでは、ホシミスジ、キタテハなどに混じって、クサフジで吸蜜するヒメシロチョウに出会えた。まだ発生したばかりで非常に綺麗な固体であった。本種については、これまで良い写真を撮っていなかったので、時期的にはまだと思っていたこともあり感激した。ここでの1番の収穫であった。 12:00ミヤマシジミの情報があった白洲町の神宮川ほとりの公園に入る。しかし、公園はきれいに草が刈られており、草地がほとんどなくなっていた。しばらく近くの草地も探したが、蝶の姿は見当たらなかった。13:00長野県富士見町道の駅蔦木宿で昼食を摂った後、アカセセリの情報のあった霧ヶ峰高原に向かった。
7月24日(日)曇〜晴〜曇、20℃〜24℃〜27℃ 9:00長野県を後にし、次の目的地山梨県へ向かった。9:15中央自動車道・諏訪IC、10:35大月JC経由で10:55山中湖ICを降りる。旧鎌倉往還を富士吉田方面に戻る途中に富士裾野の陸上自衛隊駐屯地がある。施設には入れないが、広大な演習場を土、日曜日には一般市民に解放している。 本栖湖畔のレストランで昼食を摂り、以前ホシチャバネセセリを撮影した草原に入ってみた。以前に比べて、蝶の姿は少なく、ほとんど諦めかけていた頃、Gmさんから連絡があり、ホシチャバネセセリ、ヤマキチョウなどを撮影できた。
7月25日(月) 大東島遠征記(2016)
島内には多くの湖沼があり、そのためトンボも今回の遠征目的の一つであったが、南方系のウミアカトンボは、結構多く見ることができた。
その後、島内を巡り探索したが、ハマヤマトシジミについては、イヌビユが群生している荒地2箇所で確認できた。また、灯台のある島の最高峰黄金山(74m)では、本島では迷蝶となるリュウキュウムラサキを見ることができた。 今回の遠征の出発日に、すれ違う形で通り過ぎた台風17号は、その後大型化し、台湾に上陸し大きな被害を与えたが、28日には次の台風18号が発生し、沖縄方面に向かっていた。 9月30日(金)〜10月2日(日) 北海道遠征記(2017)-春の蝶を求めて-
ただ、いくら待っても花にはとまる気配がないので、次の場所の士別市岩尾内の林道に行くことにした。何箇所か行き、いずれの場所でも数個体見ることができたが、花などはなく飛び回ており、時々、地面にとまるのを撮影するにとどまった。ここではその他スギタニルリシジミ、エルタテハ、クジャクチョウ、コヒオドシ、コツバメなどを見ることができた。
昼近くなったので、芦別町中心地に戻り、弁当を調達し、やはり花が良いと最初の場所に行くことにした。そこでは、その内、運良く♀1頭が、カタクリで吸蜜し始め、念願の写真を撮ることができた。
その後、愛山渓に行こうかとも話していたが、ほぼ目的は達成してしまったし、気温も下がってきたので、3時半頃には終了し層雲峡の宿に戻った。
気温が低く、条件はあまり良くない中、1日目に続き上々の成果で、その夜は、おいしいビールを味わうことができた。
石北峠を越えた先、留辺蘂町の最初のポイントでは、気温が低いこともあり、エゾスジグロシロチョウ1頭を見ただけであった。
前夜、チャマダラセセリを1頭採集したという人は、タンポポがたくさんある場所で、それにとまっているのを採集したと言っておられたので、その場所に行ってみることにした。1日目には、地面にとまったのしか撮影できていなかったので、あわよくば、花にとまったのを撮りたいとの思いからである。そこには昼過ぎに到着、確かに一面にタンポポが咲いており、期待しながら丁寧に見て回ったが、蝶の姿はなかった。
初日のポイントは近くだったので、前日採集者がいたということで期待はできなかったがもう一度行ってみることにした。初日に見た場所を行き来しているうち、地面にとまっている1頭が目に入った。気温約8℃と寒いこともあり、ほとんど動かないのでなかなかわかりにくかったのである。友人たちに知らせ、しばらくそれを撮影した後、ダメもとで嚇かしたところ運良くすぐ近くのタンポポにとまり念願の写真を撮ることができた。
次に、更に南下し、これまで数回訪れたことのある長流枝内林道に立ち寄った。しばらく見て回ったが、曇りがちになったこともあり蝶はほとんど見ることができなかったので、時間的には早かったが、宿泊予定の帯広市のホテル日航に向かった。
この日は肌寒く、条件はそれほど良くなかったが、羽化したばかりのジョウザンシジミ、花にとまったチャマダラセセリの撮影ができ満足のいく一日であった。
4日目 野草園では、オオバナノエンレイソウが一面に咲き乱れており、その中に、ニリンソウ、シラネアオイその他多くの野草を見ることができた。ここでは野鳥も多く見られ、キビタキ、ゴジュウガラ、アオジなどを撮影した。
当初予定していたチャマダラセセリやジョウザンシジミは、両種とも目的を達成しており、気分的には余裕で、蝶とは無縁の一日であったがそれなりに充実した一日だった。
この日も帯広で宿泊した。
5日目
先ず、エゾリスがいるとして知られている音更神社に立ち寄った。ここは野鳥も多く、リスのほかにアカゲラ、オオルリ、シジュウカラなどを撮影した。 次に、情報のあった札内川流域のポイントに立ち寄った。しかし、そこは昨年の台風の影響で、1部崖が崩壊しており、道には岩や土砂、倒れた木などが残っており、天候状態も良くなかったことも重なり、蝶の姿は全く見られなかった。すぐに切り上げ南に向かう。 途中、天候はますます悪くなり、時々雨が交じるようになった。これでは蝶は全く望めないが、後のことを考え、ネットで調べた幕別町、広尾町のポイントに立ち寄り、更に、少し遠回りになるが、襟裳岬にも、せっかくの機会だからと、立ち寄った。襟裳岬は、風が強いことで知られ、島倉千代子の歌にもあるとおり、風はヒュルヒュル、波はどんぶりこ、更にガスもかかっており、ほとんど何も見えなかった。体感気温は零下ではと思われるほど寒かったが(実際には6℃)、歌詞の石碑と岬表示の前まで歩いて記念写真を撮り、早々にここを後にした。
様似には4時頃に到着、宿には少し早いので、少し先の観音山公園に行ってみた。遊歩道沿いには、カタクリ、ニリンソウ、オオバナノエンレイソウなどが一面に咲いており、それを撮影しながら時間を過ごした後、5時頃に宿泊予定のプラザ美須々に落ち着いた。この宿は、料理屋を併設(2Fが宿)しており、夕食は店の客と一緒で、なかなかにご馳走であった。この日は、翌日のアポイ岳登山に備えて、早い時間に消灯した。
6日目
アポイ岳は(以下ウイキペディア他より)、様似郡様似町かつ日高山脈支稜線西南端に位置し、一等三角点で標高810.5m。山の名の由来はアイヌ語の「アペ・ オ・イ」(火のあるところ)である。山が「幌満橄欖岩」と呼ばれているかんらん岩でできており、特殊な自然体系となっていることにから、1952年に高山植 物帯が「アポイ岳高山植物群落」として国の特別天然記念物に指定された。1981年には日高山脈襟裳国定公園の特別保護区となった。海岸からわずか4キロにそびえるアポイ岳は、海からの濃い霧がたち込め、気温を低下させ、2000メートル級の高山と同じ条件を作り出している。周辺は「幌満カンラン岩体」と呼ばれ、マグネシウムや鉄を多量に含んだカンラン岩で構成された特殊な地質である。これら濃霧と特殊地質の影響により、「蛇紋岩植物」が生育する高山植物の宝庫として有名で、80種以上が確認され、花の百名山となっている。世界中でここしか見ることのできない固有植 物も多数ある。
7時半に宿を出発、アポイ岳ジオパークビジターセンター前に駐車、登山届を提出し、8時に登山スタートする。時々道端のエゾオオサクラソウ、ヒメイチゲ、ミヤマスミレなどを撮影しながら歩を進め、9時過ぎに5合目の小屋に到着した。ここまでは比較的楽で、これなら大丈夫と思っていたが、これからがきつかった。急な登りの連続で、ヒメチャマダラセセリが見られるという7号目馬の背に着くのに約40分かかったがほぼ限界であった。二人の友人は、登山慣れしていて、それほど疲れた様子はなく、特にMnさんは、山頂まで行ってきますと、登っていった。
この日は、帯広で宿泊することになっていたが、天気も良く、時間があるので、早めに下山し、昨日下見した場所に立ち寄ることにした。12時にポイントを後にし、1時20分には登山口に到着、トイレ休憩したあとすぐにそこを出発した。
6日目 これで全日程を終了、新千歳空港から航空便で広島空港経由、夜11時前に自宅に到着した。
今回の遠征は、前半、北の方だけが比較的天気が良く、エゾヒメギフチョウ、チャマダラセセリ、ジョウザンシジミを撮影でき、この間天気の悪かった南の方も、後半、アポイ岳登山当日から好天に転じ、念願のヒメチャマダラセセリを撮影できたほか、最終日には更に気温が上がり、難しいと思われていたエゾヒメシロチョウ、オオモンシロチョウも見ることができ、ほぼ満点の成果であった。予定が逆だったら、これほどの成果は無かったと思われ、日程を設定したMnさんと幸運に感謝する。 八重山諸島紀行(2019)-波照間の記憶- 蝶その他の昆虫の写真はこちら → 八重山諸島で見た蝶 八重山諸島で見たその他の昆虫蝶 |